はじめに

最新号
         

                『それぞれの幸せ』
 
英国のシンクタンクが発表した「世界幸福度ランキング」というものをみました。暮らしの満足度、平均寿命、生存に必要な消費エネルギーなど総合的に分析して、順位をつけた様です。178カ国中、日本は95位で、ジンバブエが最下位。ジンバブエは独裁政権により年間1000%におよびインフレ、エイズの蔓延、平均寿命最下位などから、この順位になったようです。
 このような条件で、人の幸せとは、客観的に評価出来るものなのでしょうか。私はこの評価に釈然としないものがあります。
 私は、ジンバブエで彼らの祖先を崇拝し、自分の文化、アイデンティティーに誇りを持ち、ムビラを弾き、神やスピリットの住む世界と結びつく彼らの中に、日本の都会に育ち、精神的、民族的支柱を見失っている自分たちにはない豊かさを感じました。大草原の中、電気もガスもないところで、井戸の水を汲み、作物を育て自然の恵みを受けて暮らすジンバブエの村では家族の笑顔に、幸福を感じました。
 幸せとは、個々が感じるもので、順位など付けられるものではないのです。
 私は、看護師として、かつて障害者をかわいそうだと思いました。死に行く人を哀れに思いました。でも、今は人はどんなときも幸せや希望を持ち、死ぬ瞬間まで生きるのだと感じています。だから、その人が望む安楽なこと、行いたいことを援助することが自分の役割なのだと思えるようになりました。その人が望むことが私の考える幸せとは違っていても、私が違うと言う権利はないのです。人は、自分だけしか自分の人生を選択できないのです。幸福は、その人が作り出すものなのです。
 幸福にひとつの基準を儲け、順位をつけようとする行為の恐ろしさ。ひとつの定規で他者を測ろうとする自己中心的な行為。そういう思考が、世界の争いを生んでいるように思えてなりません。 
         


#