はじめに

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                『尊敬の思い』

 絵本「神とつながる音 アフリカ・ジンバブエのムビラ」がコンテストで賞を頂きました。この物語を作り始めたのは、2年ほど前、長旅を終え帰国して半年ぐらいがたった頃のまだ絵の活動も開始していないときでした。ジンバブエで出会った仲間でありムビラの演奏活動を始めたばかりの今のムビラ・ジャカナカが、子供たちにムビラの説明をするのに紙芝居のようなものがほしい、と言ったことが切っ掛けでした。
 ムビラは、音としてもとても綺麗で魅力的です。でも、音だけでなくて、その楽器を生み出し発展させてきた、そこに生きている人々の姿も知ってもらいたいと思いました。その民族への尊敬の思いがなくては、その楽器の持つ本来の美しい音色は伝わらないと思うのです。彼らが先祖崇拝の儀式にムビラを弾き霊的な神秘的なものと生活を共にする姿は、物や金銭的な目に見えるものに価値を見出しがちな日本社会で必要なメッセージをもつと思うのです。原始人類が持っていた、この世界に存在するすべてとつながっているという、大切な感覚を思い出せる、大切なメッセージを持つと思うのです。
 今、ムビラという精巧に完成された音楽を、日本にいても多くの人と楽しみ上達したと思って、ムビラサークルを開いています。弾き方や曲はもちろん伝えますが、一緒にジンバブエの人々の姿も伝え知ってもらいたいと思っています。ジンバブエの人々を知り、好きになり、つながっている感覚が、一番楽器の上達になるでしょう。
 思えば、絵や詩の活動を始めたのも、自分が旅した土地の人々の生活を愛し、文化を尊敬し、日本に伝えたい、そして描くことによって彼らとつながっていたいという思いだったと思います。
 アフリカは、地理的にとても日本から遠いし、黒人の肌も体系も日本人からは程遠いように感じられてしまいます。でも、ショナ族の人々は穏やかで日本人に似ているし、アフリカの人々と接すると近親間が沸くことが多いのです。他文化を尊敬すること、そして、彼らを知り自分達の身近に感じることは、国籍も文化も小さな差で人類すべてが兄弟だという気持ちになります。隣人や友人のように対等に、困ったときはちょっと協力して支え、彼らの喜びも自分達とともに分かちあえます。
 多文化を尊敬することが、世界の平和を作ると信じています。そして、ムビラを愛し弾くこと、それだけでも世界平和を築いていると思うのです。


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