はじめに

最新号
         

              『すべてはひとつであるということ』
 このメッセージを書き続けて、一年が経ちました。
 今の社会への違和感から、人間、そして自分の新たな生き方を探ってきたように思います。しかし、最近、老子荘子といった老荘思想を知る機会があり「いっさいの人為を退け、自然のままに生きること」を真理とした老荘思想が、中国に現れたのは紀元前四世紀ということも知りました。その古さに驚き、そんな昔から自ら作った文明を疑っている人間の愚かさを感じてしまいました。
 私が、この老子の言葉で最も印象に残ったのは「和光同塵(わこうどうちん)」です。原典では、「鏡のような光を持っていても、これを和らげて明らかにせず、塵のうちに埋もれてこれに同調する」ということです。
 老子は自然の摂理、自然の働きを万能であり、すべての根元である真理であるといいます。自然は分割できない一つです。しかし、人間は知識、欲望などによって、ものごとを善悪、是非、自他、心体と分けて考えます。ひとつの真理を分けて考える人為を退け、自らを空として、あらゆる有を自分の内に包み込んでしまう、自らと他を相対的なものとするのではなく、一体とする、そこに自然の生き方があるということです。
 分かるということは、分けることです。戦い、怒りなど悲しい出来事は、自分が正しい、他者は不正だと決めたり、敵と見方に区別したり、自分の中と外の世界を区別したり、分離が始まりとなっているように思います。
 荘子は、「万物斉同」とも言います。人間は自分と自分以外というふたつの世界を持っている。しかし、そうした人為を廃すれば、空間は世界はひとつなのだと。
 分離を超え、すべてはひとつなのだということに真理を感じていたいと思います。
 


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