はじめに

最新号

「真の自由を求めて」

 旅立つ以前、私は看護師をしていました。旅に出たのは、その時の看護師の職場に将来性を失ったからでした。看護師という職業には、ある程度の充実感がありましたから、一年だけ念願の長期旅行をして、その後また看護師に復帰すれば良いと思っていました。また、それが看護師としても人としても、自分を大きくするものだと考え、前向きな旅立ちのつもりでた。
  私は、ジンバブエで腰椎骨折の怪我をして緊急帰国し、後遺症があるため、以前のようには看護師の仕事は出来ないでしょう。旅する中で、私は今までにない自由さを感じ、自分の中で新しい価値、感受性、幸福感が生まれるのを覚えました。これを日本に帰っても、維持したいと願いました。しかし、こうやって看護界に復帰するめどが立たず、社会に所属する所を持たない自分に不安を感じてしまいます。社会に属さず、収入もない現実は、旅していた当時と何も変わらないのに、どうして今の私の生活に精神の自由さは維持できないのでしょうか。最近私は、私が旅していたとき感じていた自由さの中に、「日本社会、看護界からの自由」があったように思えています。「〜からの自由」というひとつの逃避があったように思います。旅していたとき感じていた自由さとは、ただ単に評価や責任のない気ままさ自由さであり、真の自由ではなかったのかもしれません。
  真の自由とは、「〜から」といった既成の物質や価値と全く関係のないことです。ただ、ひとり自立した自分の精神の中に存在する限りない広さをもった幸福であり、絵や詩が生まれる時私はその片鱗を覚えます。個人の心に真の自由があり時、心は幸福であって、自分の価値を見出せ、社会も平和で愛のある道徳的なものになると思います。旅が終わって、自分の生活する社会に帰ってきてからこそ、真の自由を維持することの重要性を感じています。
  真の自由とは、自分の精神の自立が求められます。それは厳しい道です。その厳しさと美しさを感じながら、私は自分の中の真の自由を求め続けます。



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