はじめに

最新号
         

                 『アフリカに帰る』

 スーダンで、友人となった現地の人とナイル川を見ていた時「エリカはナイルの水を飲んだから、ナイルに帰ってくるだろう」と言われました。その言葉を、私は疑う気持ちには成れませんでした。
 アフリカには、アフリカに浸ったものを離さない不思議な力があります。そして、私もその力に惹かれ、描き続けています。
 私が慣れ親しんだ日本の文化は、区別し分けることを得意としていて、それだけに純粋で細やかで、それはそれで美しいと思ってきました。しかし、アフリカは、自然に左右され、自然に従属して生きるが故のたくましさと危うさ、そして自然のままに天に任せる圧倒的な楽天主義、血族に関わらず同じ土地で生きるものをブラザー、シスターと呼び合う連帯感。それはすべてをそのままに包み込む力のように思えました。
 物質的な貧しさ、自然の力に制圧されるはかなさ、政治不安など、多くの矛盾を含みながらも、アフリカの持つ大きな包容力には、人間が生きることを肯定する明るさがあります。自然のままの生き方に、、私は本当の人間の幸せをみたように思います。
 エチオピアのアジスアベバ国立博物館に、ルーシーと名付けられた小さな人類最古の骨格標本があります。人類は、アフリカで誕生し、世界各地に散っていったとされています。アフリカが、人類のふるさとなら、アフリカに人類の本源的な幸せを見て、惹かれ続けることは、人類として当然なのかもしれません。            
 


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