ムビラの現代と伝統
伝統と現代
伝統的な演奏の方法は、同じチューニング、同じ音程のムビラで演奏されることです。
長く引き継がれた歌、曲の型が厳密にあり、重厚さを感じます。

伝統主義のムビラ奏者が、それぞれ自分が正しいと主張する言葉をよく聞きます。アフリカは全般に部族社会で大きな部族の中に小さなサブグループを持ちます。ショナ族も同様で、小さな集落の中にチーフがいて、その周辺の集落と関係を持ちながら暮らしてきたと思われます。その為、ムビラの曲のフレーズや合奏法など、村々で存在し、その名残が今も伝統的なムビラ奏者がそれぞれにオリジナルを主張するところなのだと思います。

ムビラ全体で、これがもっとも伝統だという型は、ないのでしょう。

現代は、ガリカイファミリー、mungira nhariraといった違う音程、違うチューニングの複数のムビラを合奏するオーストラのような形が人気を集めています。
彼らは、独創的なムビラを作り、曲や歌詞も創作します。単純な2台のムビラの絡みだけではなく、それぞれのチューニングがリードを交換したり、ベースパートを生かしたり、歌もコーラスを多用し、非常に西洋音楽の影響を受けています。

しかし、このような現代スタイルをとるムビラ奏者も、伝統曲をもとに創作しています。歌詞も祖先崇拝を歌ったものが多く見られ、ムビラの儀式でも現代スタイルはみられます。スタイルは変わっても、ショナ族古来の宗教概念の上にムビラがあることは変わらないのでしょう。


ショナ族の宗教とムビラの儀式
彼らは日本人にも似たアニミズムの色彩の濃い宗教概念を持ちます。石、洞窟、山などの自然の中に聖なるものを感じ、ムビラも石の中かを音が聞こえてきて、人々にムビラの作り方や曲を教えたとする伝説が残っています。

ショナ族の最高神をムワーリといいます。ムワーリとの仲立ちをする守護霊をモンドーロといいチャミヌカやネハンダもこれにあたります。チャミヌカやネハンダは、実在の人物であったといい、この生まれ変わりも歴史上何人もいて、彼らが霊魂の不滅を信じている様を感じます。
モンドーロの生まれ変わりとする人物は、力をもった霊媒師(スイキロ)として崇められました。

このようにショナ族はこの世は死者の魂の影響下にあると考えます。
死者の法事や収穫祭など定期的に、個人の病気や自然災害など問題が起きたとき、彼らはムビラの儀式を開きます。


儀式では、ムビラが演奏され、人々は夜を徹して踊り歌います。ムビラの音によって、霊媒師の体に祖先の魂は降りてきてきます。そして、祖先の魂は、人々に問題解決のメッセージを与え人々はそれにしたがって生活しようとするのです。

まさにムビラは、霊魂との媒体となる聖なる楽器といえるでしょう。